姉を選んで私を捨てた冷徹社長が、お見合いをした途端に「俺の女だ」と執着してくる件について

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第94章 公金横領

その特徴的なナンバープレートを付けたベントレーが目に入った瞬間、西園寺希美(さいおんじのぞみ)は嫌な予感を覚えた。

彼女は今夜、酒を一滴も飲んでいない。意識は冴えている。

だが、隣にいる城戸和彦(きどかずひこ)は泥酔しており、ボンネットに突っ伏して今にも寝落ちしそうな有様だ。背後に音もなく滑り込んできた高級車になど、気づく様子もない。

運転席から降りてきたのは、やはり黒田洋二(くろだようじ)だった。彼は恭しく後部座席のドアを開けた。

「西園寺さん」

希美はその場から動かなかった。

すると、後部座席に座っていた神宮寺蓮(じんぐうじれん)が手を伸ばした。その掌には、三日月形の翡翠のペ...

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