絶色の香り

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第119話

「もし父さんが陳若依の言うとおりで、僕と母さんに迷惑をかけたくないから捨てて行ったのなら、許せるかもしれない。でも、もし別の女のために僕たちを捨てたのなら、一生許せないだろうな」

母さんは本当に辛い人生を送ってきた。物心ついた頃から、母さんは村の学校で教師をしていて、月給は数百元だけ。僕と母さん二人の食費にも足りないくらいだった。だから母さんはいつも食事の時、ほんの少ししか食べず、残りは全部僕にくれていた。

はっきり覚えているのは、あの年のこと。母さんが市場から魚を一匹買ってきて、僕に煮魚を作ってくれると言った。魚が出来上がって、母さんが箸をつけないので、なぜ食べないのかと聞くと、母さんは...

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