第29話

また、あの無力感と絶望に襲われていた。

孫建は目を閉じ、歯を食いしばり、知的な顔が歪んでいく。両手で自分の髪を激しく引っ張っていた。

夫のこの状態を張媚は知る由もなかった。彼女が三十分ほど仮眠をとって起きてリビングに来ると、夫はソファにきちんと座ってテレビを見ており、その表情は穏やかで、番組を見ながら魅力的な微笑みさえ浮かべていた。

孫建はとても端正な顔立ちで、高学歴のおかげで気品も備わっていた。唯一残念なのは、あの実験事故だった。

「あなた、ずっと座ってないで、もっと歩いた方がいいわよ。足の回復にいいから。最近、数ヶ月前よりずっと良くなってきてるの気付いてる？今は油断しちゃだめよ」

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