チャプター851リング

ナサニエルは目の前に立つサスキアを見つめた。「君に渡したいものがもう一つあるんだ」

「なあに?」サスキアは好奇心に目を輝かせて尋ねた。

ナサニエルは小さな箱を取り出し、蓋を開けた。

中の指輪を見たサスキアは息をのんだ。「今、つけてもいいの? 明日まで待つんじゃなかったかしら……」

「まず試着してほしいんだ」ナサニエルは説明した。彼がその指輪を用意したのはずっと前、サスキアが彼のそばにいなかった頃だった。

彼女の正確なサイズを知らなかったため、自分の判断で見当をつけるしかなく、合うかどうか確信が持てなかったのだ。

それを聞いて、サスキアの心はとろけるようだった。

ナサニエルが彼女がそばにいなかっ...

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