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第85章 人生に六年は幾度あるか

早石貴史の体から、鼻をつくようなアルコールの不快な臭いが押し寄せてきた。

橘芹奈は身をかわそうとしたが間に合わず、今にも彼に抱きすくめられそうになる。

その瞬間、氷川昴が弾かれたように割って入り、橘芹奈の手首を強く掴んで自分の懐へと引き寄せた。

早石貴史の不意打ちのような抱擁を回避した橘芹奈は、勢い余って氷川昴の胸にしっかりと倒れ込む形になった。彼から漂う爽やかな柑橘系の温もりある香りが、瞬く間に早石貴史の酒臭さを打ち消していく。

その香りは、橘芹奈に一瞬で深い安らぎを与えた。

「どうしてここに?」

橘芹奈は慌てて体勢を直すと、無意識のうちに氷川昴にそう尋ねていた。

「藤堂ミナ...

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