姉を選んで私を捨てた冷徹社長が、お見合いをした途端に「俺の女だ」と執着してくる件について

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第272章 分岐点

西園寺希美はその指輪のデザイナーが誰かを知っていた。なにしろ、彼女をデザインの殿堂へと導いてくれた人生の師なのだから。

その言葉を聞いた途端、指輪を投げ捨ててしまおうという気は瞬時に半分ほど失せた。

彼女は無意識に指輪を裏返し、神宮寺蓮の言うサインを真剣な眼差しで探し始めた。

確かに内側には一連の文字が刻まれていた。だが、それはデザイナー自身の名前ではなく、『西園寺希美』だった。

それを見た瞬間、西園寺希美は目を丸くした。

そこへ、神宮寺蓮の声が絶妙なタイミングで降ってくる。

「それはエラが君のためにデザインした専用の指輪だ。本当に捨てる気か?」

彼女はすかさず首を横に振った。...

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