姉を選んで私を捨てた冷徹社長が、お見合いをした途端に「俺の女だ」と執着してくる件について

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第207章 心を語る

帳が下りる頃。

一台のマットブラックのカリナンが、聖マリア病院の地下駐車場へと滑り込んだ。

車は「VIP」と記された白線の枠内に、音もなく停車する。そのフロントは、エレベーターホールのガラス扉に正対していた。

冷ややかな照明の下、艶消しの黒いボディが鈍い光沢を放つ。タイヤがエポキシ樹脂の床を噛む微細な音が止むと、車庫内には換気システムの低い唸りだけが残された。

「カチリ」と、ドアのロックが解除される音が響く。

黒のコートを纏った男が車を降りた。仕立ての良いスラックスには、皺ひとつ刻まれていない。彼がカシミヤのマフラーを軽く直すと、その手首から余計な装飾を削ぎ落としたマットな腕時計が...

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