35話

私は彼を見て目を見開いた。彼がコートの前を開くと、ウエストバンドに銃が差し込まれているのが見えた。店の向こう側にいる彼の仲間を見上げると、彼もまた銃をちらりと見せた。私はごくりと唾を飲み込み、周りを見回した。二人の母親が子供たちと楽しそうに読書をしており、他にも何人かの客がいた。無実の人々の血が流されるわけにはいかない。だから私は唯一の論理的な選択として頷いた。彼は笑みを浮かべ、私の手を乱暴につかむと、無理やり立たせてドアの外へ引きずり出した。

私たちは建物の横に回り、小さな路地を下って、角を曲がって裏路地へ向かった。彼の腕の掴み方は、あとで間違いなく痣ができるほど強かった。裏に停めてあるバ...