269話

ネイサンが去っていくのに気づいた後、カトニスはしばらくの間、じっと動かずに座っていた。顔には涙の跡が伝っていた。彼女はネイサンが突然去ってしまうとは思っていなかったようだ。彼は怒っていたのか、悲しんでいたのか、あるいはその両方だったのかもしれない。

カトニスの目には後悔の色が浮かんでいた。ネイサンと肉体関係を持たなかったことを後悔しているのか、それとも今の自分の態度を後悔しているのか。

結局、すべての表情は失望へと変わった。今さら後悔しても遅い、ネイサンはもう去ってしまったのだから。

カトニスは再び泣き出さずにはいられなかった。誰にも邪魔されることなく、さらに悲しげに泣いた。まるで性的依...