第720話

彼のような恐ろしいことをする人間。それは彼の邪悪な頭脳にさらなる感情的道具を与え、おそらく彼にサディスティックな快感をもたらすだろう。私はすぐに気を散らすために、彼女が言ったことの中の奇妙な細部に注目して、それを流すことにした。

「あなた彼のことをレックスって呼ぶの？なんだか彼をレックスとは思えないわ」私は彼女をあまりにも生々しい話題から離し、代わりに些細なことで気を紛らわせようとした。彼をそう呼ぶのは従兄弟と兄だけだと聞いていたから、妙に親密な感じがする。私は彼女を上から下まで見て、その明らかな愛情をどう解釈していいのかわからなかった。彼にとってさえ、彼女は少し若すぎる。彼女はまだ学校を卒...