第548話

「大丈夫よ、ベイビー。彼に言う前に、思い切って誘惑しちゃいなさいよ」クリスチャンが電話越しに笑う。いつも通り supportive な彼に、私はため息をつく。神経はバラバラ、胃はぐるぐる回り、指先はカウンターの上で焦れったく動いている。

「彼、怒るかもしれない。あるいは落ち込むかも。わからないわ」私はアパートの壁を見つめる。エンターテイメントユニットの方を向くと、そこには去年からの私たちの写真が何百枚も飾られている。笑顔で幸せな旅行の写真や、お気に入りの自撮りからの可愛いカップルショット。彼のラウンジは最近、あまり男らしく洗練された感じではなくなってきている。ブランケットやふわふわのクッショ...