第529話

アリックは私を引っ張って、廊下のドア近くの角にある席に連れて行った。今夜はお酒を控えめにしているつもりだったが、おそらく二人とも意図したよりもかなり酔っている。夜の雰囲気と彼の友人たちに夢中になっていると、一気に酔いが回るまで自分が何を飲んでいるか見失いがちだ。私はすでにほろ酔いを超えていて、すべてがゆるやかに揺れ、「私、すごく酔ってる」という夢見心地の感覚で、くすくす笑いが止まらない。

クレアとは足がくたくたになるまで踊り、ジェニーとは十分ほど会っただけで、ネイトが現れて彼女を連れ去り、それ以来会っていない。彼が文字通り彼女を肩に担ぎ、お尻に手を置いてVIP専用ルームの方向に連れて行ったの...