第525話

私は寝返りを打ち、目を開ける。長い眠りの後、完全にリフレッシュされていて、漂ってくる食べ物の香りが鼻をくすぐる。ソファで体を起こし、まだ小さな音で流れているテレビに目をこすりながら、アリックがキッチンでフライパンか何かをカチャカチャ鳴らしている音に耳を傾ける。そしてソファの背もたれ越しに彼を見つめる。

匂いからするとラグーソースを作っているようだ。彼のお母さんのレシピで、カウンターにはパスタが見える。自家製だ。彼のお母さんは私が小さい頃、そういったことを全部教えてくれたけど、私には料理の才能がなかった。アリックは気分が乗っているときは楽しんで料理をするし、今も天国のような匂いが漂っている。

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